HOME  > バレエ「ダーナの泉」> バレエ「ダーナの泉」解説 > バレエ「ダーナの泉」について




バレエ「ダーナの泉」について


  バレエ「ダーナの泉」は私(岡本由利子)がストーリーを書き下ろし、
台本、作曲、構成をしているオリジナル作品。

1.【どういうバレエ作品か?】
バレエ作品と言っても様々なものがある。例えば
*規模;  少人数のダンサーによる短い作品 又はグランド・バレエ
*スタイル;モダン 又はクラシック
*内容;  抽象的な作品 又は物語性の強い作品 と言う様に。

◎私はこのバレエ作品を創作するにあたっては、物語性があり、クラシカルな
スタイルに基づく、三幕物のグランドバレエを思い描いている。

2.【具体的にどの様なバレエを構想しているのか?】
(1)タイトル バレエ「ダーナの泉」
(2)出演人数 約35名
(3)構成   3幕物 合計 約2時間
        1幕 16曲 45分(1場 11曲 30分、2場 5曲 15分)
        2幕 16曲 50分(1場  7曲 10分、2場 9曲 40分)
        3幕 13曲 25分(1場 13曲 25分)
        (すべては仮の予定曲数)
(4)音楽   オーケストラによるバレエ音楽の演奏

3.【グランドバレエを支えるテーマ】
この様な大きな作品には、それを貫く、あるいは作品を支える普遍的なテーマが必要と
考え、探して行くうちに「ケルト神話」に辿り着いた。だが「ケルト神話」には、私が知る範囲ではバレエ化に向けた、手頃なストーリー性のある神話は見つからなかった。

ただダーナ神族の中に、武勇に優れた光の神ルーが登場、フォモール族の魔眼バロルと戦うという記述がある。両者は光と闇という対極を成すのだが、この対立の構造を軸とした
物語を組み立ててバレエ作品を創れるのではないか?と思いついた。

一つ断っておくが、私はダーナ神話を忠実にバレエ作品化するのを目的とはしていない。
表現したいのはケルト神話ををベースにした、より人間に近い世界、つまりこの作品は、
ケルト神話に基づく、あくまでもオリジナル作品だという事である。

4.【ケルトのバレエ作品化への可能性】
 [ベルティナ]
 このバレエの中にはティナとベルという姉妹が出て来るが、これはケルトのベルティナ
 (明るい光に満ちた半年)からネーミングしたものである。
 [ドルイド僧] 
 また古代ケルトにはドルイド神官の存在があった。彼等は天文の知識を持ち、聖樹崇拝
 を重んじ、占いを行い、霊魂不滅、輪廻の教義を説いたと言われる。(大辞泉より)樫の
 木は重要な樹木である。まずプロローグでその神秘性を、敵国司令官バロルの運命を予
 感させるべく用いてみた。
 [造形]
 造形的に見ても、渦巻文様、連続性のある文様(姿を変え命は繋がって行くという考え
 方)、トルクの装飾等、舞台美術上のヒントや可能性が豊富で面白い。

5.【このバレエ作品の特徴】
【1】登場人物について
 ①このバレエはルークという男性を主人公としている。正義が勝つ単純な勧善懲悪とは
  違い、主人公が深い痛みから立ち上がり、自分自身の持つ弱さを乗り越える姿を描く。
 ②各登場人物の性格が明確であり、それぞれの持ち場で個性を発揮する。

【2】色彩・イメージ
〈場面展開上〉
  1幕1場/牧歌的 村の平和な風景の1コマであり緑、祭りの華やいだ色から夕景へ
    2場/女神ダーナの登場の水色、青に始まり敵の侵入による暗闇、黒へ
  2幕1場/異国バロルの居城の密室に始まる。怪しい色の玉、金、紫、暗黒、濃赤
    2場/同じく謁見の間。更に豪華絢爛な色、彫刻、タペストリ等
  3幕1場/暗い森の中 こげ茶 深緑、灰色、途中展開ラストは女神復活の水色青
〈曲の中で〉
  「四つの総(よつのふさ)」に見られる4人の主要人物の色の設定
  相撲の天井の四隅に下がっている総(房)には4つの色がある。「四つの総」の楽曲は
  この総から想起したもので、主要登場人物のルーク(青) ティナ(赤) ベル(白)
  バロル(黒) をイメージの色として描いている。

【3】音楽とバレエの連動
 ①上記「四つの総」では、音楽においても主要登場人物4人(男性2、女性2)がライ
  トモティーフ(登場人物を表す特定の動機)で表され、それぞれが組み合わされて踊
  りを展開して行く。一般的にバレエでは、例えば主役にあたる2名のパ・ドゥ・ドゥ
  がメインの踊りとなっており、勿論このバレエでもその様な場面もあるが、見せ場は2
  幕終盤の、メインとなる踊り手4人で踊る「四つの総」。
 ②「フルピコの詩(うた)」では登場人物のベンがフルピコ(フルート+ピッコロの岡本の
  想像上の楽器)という楽器を奏でながら踊る。
  実際にはオーケストラピットのフルートとピッコロが演奏。

【4】ダンス(舞踏)
 ①男性舞踏も多い。(1幕1場 ルークと兵士、ロシアの踊り-コザック風ダンス、2幕
  1場 ドルイド、2幕2場 腹心の部下達の踊り、3幕 ルークのソロ)
 ②2幕最終曲「バッカナール」はあえて主要人物以外の人達を中心に繰り出される迫力
  ある踊り
 ③新体操での「ボール」「リボン」の動き?!

【5】演劇的な要素も多分に含んでいる(特に3幕)


▲ページTOPへ