2002-11-20
(Wed)
やっぱり日本は因幡の白兎?!あと一歩で海にドボン、負けてしまいましたね、日米野球。ま、それはそれとして今夜はサッカーでしょうか!
ところで昔の話を一つ。高校時代、私は坂をかなり登った、学校の敷地にある学生寮に入っていて規則は厳しかった。ある日寮監が激怒。理由は「鉄条網」だった。学校の裏手には「よみうりランド」があり、勿論行くのには、いったんそのキツイ坂を下り、ランドの正門までぐるっと回らねばならないのだが時間がかかる。ところが裏手の山を登って行くと地続きですぐ入れるのだそうだ。けれど勿論その境界線には鉄条網があって入れないようになっている。ところがそれを押し曲げて、ランド側に入った不届き者がいる。全く我が校の恥だという話だった。
今の時代には考えられないが、寮は朝6時起床から掃除、弁当作り、夕食作りなどの当番があり、自習時間からことばづかいまで決まっていた。就寝は夜10時15分、TVも自由に見れず、外出は土、日以外は駄目だった。うーん、ピンと来た。私と違う寮生で、仲のいいMちゃんではないか?彼女はスケート好きでスケートリンクのおじさんとはツーカー、しょっちゅうよみうりランドに行っていると聞いた。それで会った時「危ないわよ、先生すごく怒っていたもん。」と言ったら、首をすくめて「それがさあ、もう見つかっちゃったのよん。いい気持ちで滑ってから山から下りて来たら、下でものすごい形相して待っていて、それからもう絞られたのなんのって。」
数ヶ月が経って、先輩から誘われた。
「面白いことがあるのよ。行ってみない?!」
「いいですねえ、行きますヨ。」
ホイホイついて行ったものの、なんとそこはまたあの問題の境界線、鉄条網を越えなくちゃならない話だった。
「で、でもこれ、ちょっとまずいんじゃないですかァ?」
と聞くと、先輩はちっとも慌てずニコリとした。
鉄条網の下草をどけると、そこには人一人分がやっと通れる穴が掘ってあった!棘に刺されぬようやっとの思いでくぐり抜けると、何だかそれはそれで不思議とカゴを出た鳥の気分だった。
「こっちこっち。」
呼ばれた方に行くと、そこは崖の上で、そこから読売巨人軍の選手の練習している姿が目に飛び込んで来た。どうも先輩はその中の誰かに思いをよせているようだ。ふーむ、あの鉄条網騒ぎは、もしかしたらこっちの先輩の方だったのかも、と思った。
若い選手の打撃練習をつきっきりで見ていたコーチは、チラと私達の方を見たけど、かえって練習は容赦なく厳しさを増した。若い選手は言われた通り黙々と素振りを繰り返す。汗がしたたり落ちる。私と年もあまり違わないように見えるというのに、もう既に彼はプロの卵なんだ・・・鉄条網を越えてみたら、そこにはスゴイ世界が広がっていた。 |