2002-12-24
(Tue)
先週国立市でマンション訴訟があった。御存知の方も多いと思うが、市民が暗黙のルールとして守っていた建物の高さをはるかに越えるマンションが建設され、地裁で、入居済み14階建ての7階以上を撤去するよう判決が下されたものだ。
家の近くでも、すぐ隣に大きな建物が建つ事になると、「断固反対」のアピールの垂れ幕が周辺の家から下げられる。けれど今までは、大体予定通りの建物が出現していった。
今日書こうと思ったのは、同じ町に住む友人から、興味深い話を聞いたからである。彼女のご主人は地元で長い間商売を続けて来ている。一口に商売と言っても、地元の企業や商店もあれば、一方、外からの(例えば大手の)企業がそこに支店を出している場合もある。そして外からの企業は、また会社の方針で数年後、そこを離れて行く場合もあるようだ。
恐らくそういう時、立地条件も良くて、マンションも建てられる準工業地域では異変が起きる。ある日あったはずの会社の跡地に巨大なマンションが出現し、そこに住む人にはこんなはずではなかった事になる。
で、先程の私の友人の話に戻る。S社は大手企業で何年間かこの町にいた。ところがある日ここを引き払う事になった。その時、この会社の上の立場にいる方がこう仰ったのだそうである。
「私達は去ってしまう。でもここに住み続けるのは地元の方々だから、この土地は地元にお返ししましょう。」と。
S社敷地近くに住む友人のご主人は、この言葉にとても感激したそうだ。以後そこには地元の企業が店を構えているという。
より高く土地を買ってくれる業者も他にあったと思われるが、そうしなかった。結果、いまだにS社への評判が良いと聞く。(これはお金に変えられない?!)
言ってみれば最初の国立の話にしても、S社の話にしても、古臭いようだけど、「和」とか「調和」というもの、周囲との「バランス感覚」がものすごく大切だと感じさせられる。そしてそれはごく当たり前だあるはずの、周囲が「何を望んでいるか?」を聞ける耳、姿勢だと思う。
S社はいい話だからバラしていいだろう、あの「島津製作所」である。いえいえ、ノーベル賞の田中さんの話が出て来るよりもっと前のお話 |